痛みは、一般的にケガや病気で身体が傷ついたり不具合が起きた時に「何かおかしい」と知らせる為の、身体に対する有用な警告システムであり、身体の具合が良くなるとともに消えるものです。
痛みのシステムは火災報知器に例えられ、ケガや病気(火)がある時は痛みが出る(アラームが鳴る)、これは普通の「急性の痛み」の場合ですが、ケガや病気がほとんどない、または治っている(火がない)にも関わらず痛みが出てしまう(アラームが鳴ってしまう)、これが「慢性の痛み」です。言わば痛みのシステムの不具合(アラームの故障)ということになります。問題になるのは、なかなか良くならないこの慢性痛です。
痛みは最終的に脳で様々な情報(身体からの信号や過去の記憶、感情など)が統合され痛みとして感じるもので、慢性痛には生活習慣や心理的要因が必ず関係していると言われています。身体の不具合だけで痛みを感じているわけではないのです。慢性痛は複雑なもので、身体をみるだけではなく患者さんの話を良く聞いて、日常生活のことや気持ちのことも考えなければ痛みの治療はうまくいきません。